評価が180度変わる!新人に仕事を教える前に必須な3つの予備知識
新入社員の研修や業務指導をする皆さんへ。
ネットでは様々な教えるコツがあふれていますが、教える際に知っておくと役立つメソッドや効果抜群な教え方があることをご存知でしょうか?
本記事でご紹介するものは、成人に対して物事を教える際に非常に役立つ知識です。
効果的に仕事を教えることはもちろん、予備知識として知っておくだけで教える側の今後の評価にも大きく差が出ます。
キャリアにも必ず役立つので、是非これからの研修や指導に活かしてみてださい。
こんな方におすすめ
- 教え方に自信がない、研修は難しい…と感じている方
- これから新人研修や業務指導を行う予定の方
- 対人関係におけるビジネススキルを身につけたい方
※本記事でご紹介する内容は対面形式が前提ですが、バーチャル(オンライン)でも応用可能です。
新人に仕事を教える前に絶対に知っておきたい事①成人学習理論

成人学習(Adult Learning)とは、文字通り成人した「大人」が新しい知識を学ぶことです。
大人になってから学ぶことは、子供が学ぶ原理とは大きく異なるため、教える側は成人が知識を学ぶ際のプロセスを理解し、成人に対してどのようにして専門知識を教えるか、を考える必要があります。
仕事を教える際に意識すべきは「学習定着率」
成人学習のプロセスを知るのにぴったりなのがラーニングピラミッド(Learning pyramid)と呼ばれる学習モデルです。

それぞれの学習定着率
- 講義(5%)
- 読書(10%)
- 視聴覚(20%)
- デモンストレーション(30%)
- グループディスカッション(50%)
- 実際に練習(75%)
- 他者に教える(90%)
ピラミッドの下にいくほど学習定着率が高くなり、効果的とされています。
その反面、大人は学習時にピラミッドの上位部の学習法に時間を割きがちとも言われています。
つまり、研修や指導の際には資料を読ませたり講義を聞かせるだけでなく、動画を見せたり、ペアワークをさせてみたり、グループで討論して考えさせるなどの多角的な学習方法を取り入れることが大切です。
もちろん研修でインプットした後は実際の仕事でアウトプットしてもらいますが、研修中にアウトプットの機会を設けることで学習効果が高まり、有意義で効果的な研修を展開することが可能です。
ラーニングピラミッドは指導者として必ずおさえておきたい知識なので、それぞれの学習定着率を念頭に置いたうえで準備をするようにしましょう。
成人学習には4つの段階がある!
一般的に、成人学習には4つの段階があるとされています。
- 該当スキルの知識も経験もない
- 知識はあるけど経験はない
- 該当スキルの知識があり、労力を費やせば遂行可能
- 自然と体で覚えている
成人はこの4つのステップを踏んで新しい知識を学びます。
基本的に会社では①か②の相手に仕事を教えることが多いと思いますが、相手によっては既にある程度の専門知識が備わっている場合もありますよね。
研修や指導の相手はどの段階なのか?を明確にすることで、指導方法やアプローチの仕方を変えていく必要があるという点を覚えておきましょう。
新人に仕事を教える前に絶対に知っておきたい事②心理学用語「ラポール」

ビジネスを成功させるために重要と言われるラポール(rapport)は、フランス語が語源の心理学用語で、「調和のとれた関係性」と意味します。

つまり、「仕事上におけるリラックスした信頼関係」ということ!
ラポール形成=仕事を教える際の信頼関係の構築
仕事を教える側と教えられる側の間でラポールが形成されることで、より効果的な研修を行うことができます。
上司と部下、先輩と後輩、会社と顧客、コーチング、親子間など様々な関係でラポールの形成は非常に大切。
皆さんも、「この先生、なんかいい先生だな」「この先輩に質問するといつも親身になってくれるし、頼りになるな」と感じた経験はありますよね。
こういった人は全員もれなくラポール形成に非常に長けています。
そういった相手に教えてもらったことは不思議と記憶に残っていたり、指導をされても相手を信用しているので素直に聞き入れることが出来ます。
では実際に、何を意識すれば信頼関係を構築し、効果的に仕事を教えることができるのか見ていきましょう。
非言語コミュニケーションが不可欠
ラポール形成に大切なのは非言語コミュニケーションです。
非言語的コミュニケーション(ノンバーバルコミュニケーション)とは、言葉以外の手段によるコミュニケーション方法を指します。
アメリカの心理学者アルバート・メラビアンが1970年代に行った実験では、「話し手」が「聞き手」に与える印象の中で、話している言葉そのものが影響している部分は全体のわずか7%であり、その他93%はノンバーバル(非言語)の要素であるということが分かりました。(=メラビアンの法則)

非言語コミュニケーション(メラビアンの法則)
- 視覚情報…見た目、身だしなみ、表情(視線)など…55%
- 聴覚情報…声の質・大きさ・速さ(テンポ)…38%
- 言語情報…話す言葉そのものの意味…7%
図からも分かる通り、信頼関係を構築するには話す以外の「見る」「聞く」ことからの情報が非常に重要。
仕事を教える側は「何を言うか」に気を取られがちですが、話し方やジェスチャー、服装、顔の表情などの全てが見られていることを意識し、聞き手から信頼されるような工夫をするべきということです。
例えば…
- 全体に視線を送り、1人1人とアイコンタクトをする
- ワントーン声を上げて、いつもよりテンション高めに話す
- 受講者側からみて自分のジェスチャーが前後左右逆転していないかを意識(見え方を意識)
研修の中でラポールをうまく形成することで、部下や後輩からの信頼を得て優秀な指導者になることが可能です。
今まであまり意識をしてこなかった方は、ぜひ非言語的コミュニケーションを意識してみてくださいね。
新人に仕事を教える前に絶対に知っておきたい事③ソクラテス式問答法

ソクラテス式問答法(Socratic method)とは、相手に質問を繰り返すことで論理的な思考を促し、受講者の理解を深めるメソッドです。
また、多角的な視点から物事を考えさせ、代替案やアイデアを引き出させる効果もあります。
仕事を教えるときだけでなく、プロジェクトを進めたり議論をしたりする場面でも有効な議論の手法と言われています。
ただ教えるだけでなく、質問をたくさん投げかけることで、教えられる側の理解度を深めることができます。
「ソクラテス式問いかけ」を使った教え方
ソクラテス式問答法で使われるのが、ソクラテス式問いかけ(Socratic Questioning)です。
質問に答えさせ、その答えにさらに質問をし…を繰り返していく流れで行われます。
質問を繰り返すことで、相手は自分の知識の不足している部分や曖昧な部分に気づくことができ、高い学習効果と質の高い研修を行うことが可能になります。
例えば研修中に質問を受けたら…
「その考えは何をもとにしていますか?」
「どうしてそう思いますか?」
「その場合、どんなリスクが考えられますか?」
「代替手段はありますか?」
等の質問を投げかけます。
ここで1つ注意したいのが、聞き方です。
いじわるで質問しているわけではなく、とにかく相手に考えさせ、気づきを増やし、多くを学んでほしいための質問です。
相手はまだ知識を学ぶ過程なので、「さっき説明したよね?分かるでしょ?」という問い詰め方をし、100%の答えを求めるのはNGなので気を付けましょう。
ちなみにこのソクラテス式問答法、メンタリストのDaiGoさんの著書『超客観力』で登場します。
円滑な人間関係のための効果的なコミュニケーションについてわかりやすく書かれているので、参考にしてみてください。
新人に仕事を教える前に絶対に知っておきたい事【まとめ】
本記事では、新人社員の研修や教育担当や業務指導をする方に向けて以下の3つをご紹介しました。
- 成人学習理論
- ラポール形成
- ソクラテス式問答法
教え方やプレゼンテーションの魅せ方などももちろん重要ですが、これらを事前に知っておくことでより効果的に仕事を教えることが可能です。
ビジネスにおけるコミュニケーションにも生かすことが出来るので、研修をする予定の方もそうでないかたも、ぜひ今後のキャリアに役立ててみてくださいね!